MIDOTのデザイナー・北原規稚子さんにインタビュー

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2026.06.23
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2026年春夏よりアナザーアドレスで取り扱いをスタートし、早くも人気を集めているブランド、MIDOT(ミドット)。ブランドのシグネチャーは、甘さや可愛らしさの象徴として語られることが多い“ドット”です。けれどMIDOTのドットは、凛としたムードと大人の遊び心を兼ね備え、日常にも特別なシーンにも自然になじむのが魅力。

 

今回は、ライオン、資生堂でマーケターとしてキャリアを重ねたのち、MIDOTを立ち上げた北原規稚子さんに、ブランド誕生の背景や服作りへのこだわり、そして大人の女性に届けたいファッションの楽しさについて伺いました。

化粧品のマーケティングからアパレルの世界へ。心が動くものを探した先にあった“ドットの服”

ドットパフスリーブオールインワン

——MIDOTを立ち上げる前は、マーケティング領域でキャリアを重ねてこられたそうですね。改めて、北原さんのご経歴から伺えますか。


北原さん:大学でマーケティングを学び、卒業後はライオンに入社しました。最初は営業としてキャリアをスタートしたのですが、途中からマーケティングの部署に異動し、シャンプーやボディソープなどビューティーケア領域の商品を担当するようになりました。

 

その後、産休・育休を経て資生堂へ。もともとマーケティングをやりたいと思ったきっかけが資生堂だったこともあり、もう一度チャレンジしてみたいという思いがあったんです。子育てとの両立も含めて、「難しければ辞めればいい」くらいの“100か0か”の気持ちで飛び込みました。

 

入社してからは、TSUBAKIやELIXIR、MAQuillAGEなど、さまざまなブランドに携わり、最後はマーケティング本部長として、日本のマーケティング責任者を3、4年ほど務めました。

 

——誰もが知るブランドに携わり、日本のマーケティング責任者まで務められたという、まさに華々しいキャリアですね。

 

北原さん:一見すると華やかなキャリアに見えるかもしれませんが、長く仕事をする中で、自分の心が素直に動きにくくなっているなと感じるようにもなっていました。

 

会社の中では、当然それぞれの立場に求められる役割がありますよね。自分でもそれを分かったうえで向き合っているつもりなのですが、1日の大半を会社で過ごしていると、いつの間にかその役割の中で考えることが、自分自身の考えのようになっていく感覚があったんです。

 

そんな時、ちょうど残りの半生のようなものを考える年次になってきたこともあり、これからどうしようかなと考えることが増えました。「AIやデジタルがどんどん入ってくる時代におけるマーケターの役割とは何だろう」と考えを巡らせる中で、クリエイティブに新しい価値を作っていくことが、もっと重要になるのではないかと感じるようになったんです。

 

そこで一度、自分の心が動くままに過ごす時間を作ろうと思い、会社を卒業することにしました。その活動の土台として立ち上げたのが、「MICHI」という会社です。MICHIでは、「DOTをつなぎ、未知なる道を創る」という理念のもと、さまざまな企業のブランディングやコンセプト開発、新価値創造に伴走しています。

ドットリボンスリットワンピース

——そこから、どのようにMIDOTへとつながっていったのでしょうか。

 

北原さん:実は、すぐにアパレルをやろうと思っていたわけではなかったんです。

 

資生堂を退職した後にすぐ向かったのが、フランス・カンヌで毎年開催されている「カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル」でした。世界最大規模の広告・コミュニケーションフェスティバルなのですが、在職中はチャンスがあってもなかなか行けなくて。マーケティングにおいて何かしら刺激を受けたいという思いもあり、卒業旅行も兼ねて足を運びました。

 

その道中、時間がある時にiPadで絵を描いていたのですが、そこで描いていたのが“服の絵”でした。

 

—— “服の絵”がMIDOTの始まりだったのですね。

 

北原さん:はい。MICHIの企業理念が「DOTをつなぎ、未知なる道を創る」だったこともあり、当時からドットの服を着るようにしていたのですが、仕事のシーンでも着られるようなドットの服がなかなか見つからなかったんです。

 

それなら「こんなのが欲しいな」と、自分で描き始めました。その絵をアパレル企業に勤めている友人や周囲の人に見せたところ、「これ、ちゃんとやってみたら?」と言ってもらって。そこからいろいろなご縁をつないでいただき、実際に作って、撮影して、展示会を開いてみて……という流れで今にいたります。

化粧品も洋服も“人生の大事なシーン”に寄り添うもの

ドットライニングタキシードジャケット

——化粧品業界のマーケターから、ファッションブランドのデザイナーへ。一見するとまったく違う領域のようにも思えますが、北原さんの中では、どのようにつながっているのでしょうか。

 

北原さん:化粧品と洋服は、「価値作り」という意味で似ていると思っています。どちらも使う人や着る人の人生まで変えるような、大事なシーンに寄り添っているものだと思うんです。その人自身をアップデートしていく力もありますよね。

 

たとえば、「今日はこれを着ているから、もう少し頑張れる」とか、「このメイクをしているから、人前で話せる」とか。そういう力をくれるものだと思います。すっぴんのまま急にプレゼンをすることになっても、なかなかできないじゃないですか(笑)。やっぱり、化粧品も服もパワーをくれるものだと思うんです。

 

——たしかに化粧品や服は、ただ身につけるものではなく、その日の気持ちや行動まで後押ししてくれる存在ですよね。

 

北原さん:そうですね。そういう意味では、手に取ってくれる人のことを想像しながら作るという点においても似ていると思います。

 

加えてもうひとつ、前職で大切にしていた「商品をして、すべてを語らしめよ」という言葉も、どちらにも通じていると思います。広告や言葉でどれだけ説明するかではなく、商品そのものが作り手の考え方や美意識、誠実さまで語れるものであるべきだ、という資生堂のものづくりの根幹にある考え方なのですが、やっぱり、見て、触れて、感じた時に伝わるものこそが本物だと思うんです。

 

そして、その“触れた時に伝わるもの”を支えているのが、日本の丁寧なものづくりや、職人さんの技術だとも感じています。化粧品もそうですが、その技術を商品としてお客様に届けることで、使う人の毎日を少し変えることができる。そこは、今の服作りにもつながっていると思います。

“きちんと”も“ときめき”も諦めない。大人のためのドット服

ドットリボンスリットワンピース

——ここからは、ブランドについて伺えればと思います。改めて、MIDOTとはどのようなブランドなのでしょうか。

 

北原さん:ブランドの根底には、MICHIが掲げる「DOTをつなぎ、未知なる道を創る」というビジョンがあります。服自体は、「ドットを大人の分量で、遊び心のスパイスに」というコンセプトで作っています。

 

——「大人の分量で、遊び心のスパイスに」という言葉が印象的です。そのコンセプトには、北原さんご自身の経験も反映されているのでしょうか。

 

北原さん:そうですね。自分のキャリアを振り返った時、決して順調なことばかりではありませんでした。キャリアヒストリーとして見ると素敵に見えるかもしれませんが、実際には、ヒールにスーツでママチャリに乗って、子どもを後ろに乗せて保育園へ連れて行き、ダッシュで預けて会社へ行くような毎日でした。

 

日中は大事な会議があって、きちんとした装いが求められる。でも、その日の夜には化粧品関係の華やかなイベントに参加することもある。そんなふうに、1日の中で求められる装いが大きく変わることもありました。

 

本当はシーンに合わせて着替えられたらいいのですが、仕事や子育てをしながらその時間を取るのは、なかなか難しいものです。結局、子どもの送り迎えや昼間の会議で着ていたスーツのまま、イベントへ向かうことも。会場で華やかな装いの方たちを見ると、「ああ、こういう場に合う服も着たかったな」と感じることもありましたね。

 

——1日の中でさまざまなシーンを行き来するからこそ、服選びも難しくなりますよね。

 

北原さん:そうなんです。着たい服はあるのに、いろいろな制限があるんですよね。よく「おしゃれのためには我慢も大事」と言いますが、本当にそうなのかな、という思いがありました。

 

さらに、年齢やライフステージを重ねるほど、いろいろな場面で「こうあらねばならない」というものが増えていくようにも感じています。ママとしては目立ちすぎないようにしなければいけないとか、子どもの学校に行く時にはその場にふさわしい服装を選ばなければいけないとか。一方で、仕事においては、それなりの立場なのだから露出は控えたほうがいい、きちんとスーツを着て人前に出たほうがいい、という空気もある。

 

高校の校則でさえ、そこまで厳しかった記憶はないのに、大人になってからのほうが見えない決まりがたくさんあるなと思ったんです。そうやって、「このシーンなら無難にこれを着ておこう」と、少しずつ選択肢が狭まっていくことが、すごく残念だなと感じていました。

ドットパフスリーブVネックブラウス

——そうした経験が、MIDOTの服作りにもつながっているのですね。

 

北原さん:そうですね。実はMIDOTには、「朝のママチャリから、会食・パーティーまで寄り添える服」という裏テーマがあるんです。

 

動きやすいけれど、きちんとした場にもなじむ。出張にも持っていきやすい軽さやシワになりにくさなど、日々の使いやすさもありながら、ドットの華やかさや遊び心も楽しめる。そういうバランスを意識して、女性のさまざまな悩みやシーンに寄り添える服を作りたいと思っています。

 

——忙しい女性たちの毎日に寄り添う服であるために、着心地や扱いやすさの面で大切にされていることはありますか?

 

北原さん:特にオリジナルで作っている生地は、実際に自分で長時間着てみるようにしています。擦れる部分がどう変化するか、ジャケットを上から羽織った時にフロッキーが取れやすくないか。着てみて気づいたことがあれば、改良するようにしています。また、素材だけでなく、着た時の見え方や安心感も大切にしています。丈感もそのひとつで、最初のサンプルから少し丈を伸ばして作ったワンピースもありました。短い丈も素敵でしたが、友人や働く女性など周りの人の声を聞きながら、数センチ単位で調整しながら作りました。

 

こうした感覚は、化粧品の仕事にも通じるところがあります。どんなにラボでいいと言われても、実際に持ち運んだり、毎日使ったりすると、蓋が緩んでしまうとか、バッグの中で開いてしまうとか、使う人の生活の中で初めて見えてくることがあるんです。服でも同じように、見た目の美しさだけでなく、実際に着る人の感覚や使いやすさを大切にしながら作るようにしています。

 

——たしかに、MIDOTの服は華やかな見た目でありながら、袖を通すと想像以上に着心地がいいですよね。

 

北原さん:ありがとうございます。実際に、「気が付くとしょっちゅう手に取っています」とか、「出張の時は必ずこのジャケットを持って行っています」と言っていただくことも多いんです。

 

すごく気に入っているデザインでも、着心地が悪いとだんだん遠のいてしまうことがありますよね。そのような“少し頑張らないと着られない服”にはならないように意識しながら、服作りをしています。

 

——心地よく着られることに加えて、MIDOTらしいドットの見え方にもこだわりを感じます。ドットというと可愛らしい印象もありますが、大人の女性に似合うバランスはどのように考えられているのでしょう。

 

北原さん:ドットの大きさや幅、入れる位置にはすごくこだわっています。明確な規則性があるわけではないのですが、大きさや間隔が少し変わるだけでも、服全体の印象が変わるんです。

 

ドットが大きすぎたり密集しすぎたりすると、印象が強くなりすぎてしまうことがあります。反対に、小さくなりすぎると、落ち着きすぎたり、今っぽさが出にくくなったりすることもあるんです。だからこそ、どのアイテムに、どのくらいの大きさで、どんな間隔で入れるのか。そのさじ加減はとても大切にしています。

 

——その細かなさじ加減によって、ドットの印象も変わってくるのですね。実際に着てみると、可愛らしさだけではない魅力も感じられそうです。

 

北原さん:そうですね。「ドット柄の服は可愛すぎるのでは」と思われる方もいるのですが、実際に着てみると、ドットだけが前に出るというより、その人が持っている魅力に重なって、素敵に見えることが多いんです。

 

展示会で皆さんが試着される姿を見るのが好きなのですが、人によって全然違う印象になるんですよね。落ち感や首の開き、シルエットによっても見え方が変わるので、可愛くなりすぎるというより、その人らしさを引き立ててくれる柄なのかなと思っています。

 

——その人らしさを引き立ててくれる柄だと思うと挑戦しやすそうですね。柄もの初心者さんには、どのようなアイテムから試してもらうのが良さそうでしょうか。

 

北原さん:たとえば、裏地にドットを忍ばせているジャケットなどは取り入れやすいと思います。外側はシンプルに見えるけれど、動いた時に裏地のドットがちらっと見える。そうすると、自分の中でだんだん慣れてくると思うんです。そこから、もう少し柄が外に出てもいいのかな、となっていく。まずは、ドットの分量が少ないものから試していただくのがおすすめです。

服のために自分を制約しない。日々頑張る女性に寄り添う一着

ドットリボンスリットワンピース

——MIDOTの服は、どのような人に楽しんでもらいたいですか。

 

北原さん:日々頑張っている女性たちに着てほしいです。頑張っている女性たちって、本当によく動いていると思うんです。だからこそ、服のために自分を制約しないでほしい。ちゃんと動けて、ちゃんと食べられて、それでも気持ちが上がる服でありたいと思っています。

 

大事な会議や子どもの送り迎え、会食、ちょっとしたパーティー。1日の中にいろいろな予定がある日こそ、着てみてほしいですね。

 

——アナザーアドレスで展開しているアイテムの中で、特に注目してもらいたいものはありますか。

 

北原さん:アナザーアドレスは「買うとなると少しチャレンジだけど、着てみたい」という服を気軽にレンタルできるサービスですよね。そのような視点で考えると、ジャンプスーツがおすすめです。一見難しそうに見えるかもしれませんが、着てみるとコーディネートいらずで、映えて、動きやすいんです。それをきっかけに、「私、ジャンプスーツいけるな」と感じていただけたら嬉しいですね。

普段なら選ばない一着を、日常に。レンタルで広がる服の楽しみ

——北原さんご自身もアナザーアドレスを利用されていたと伺いました。どのようなシーンで使われていたのでしょうか。

 

北原さん:私の場合は、自分でブランドをやっていることもあるので、人前に出る時に着るオンの服というよりは、プライベートで着るオフの服をレンタルしていました。普段自分では買わないけれど、色やシルエットに特徴があって気になっていたブランドを、日常に取り入れられるのが楽しいんですよね。

 

——日常の中で、普段なら選ばないブランドやデザインを試せるのは、レンタルならではの楽しさですね。実際に利用されて、便利だと感じた点はありましたか。

 

北原さん:まず、楽ですよね。選んで手続きするだけで届きますし、段ボールではなく、パッと取り出してそのまま掛けておける形で届く。返す時も指定した場所まで来てくれて、渡すだけでいい。

 

レンタルを利用する方は忙しい人も多いと思うので、ちょっとした手間があるだけでもハードルになると思うのですが、その点、とてもスムーズでした。

ファッションは武器や鎧ではなく、自分らしくいるためのパートナー

——ここまでお話を伺って、北原さんにとって服は、ただ身につけるもの以上の存在なのだと感じました。改めて、北原さんにとってファッションとはどのようなものですか。

 

北原さん:自分がいたい自分でいるためのパートナーのような存在です。武器や鎧ではなく、寄り添ってくれるものなのかなと思います。もっと若い時は、武器にしたり、鎧にしたりしてやってきた部分もありましたが、今はパートナーという感覚に近いです。

 

——より自然体でいられるためのものなのですね。

 

北原さん:そうですね。服は、その人らしさを表すものだと思うんです。その時の気分も表れますよね。無理して「こうなりたいからこの服を着る」と鎧のようにまとっている時よりも、自分が「これが私らしい」と思える服を着ている時のほうが、コミュニケーションも心地いいものになりやすい気がします。自分らしい服を着ていると、自分にとっていい人と出会えたり、いい会話が生まれたりする。そういうことがあると思っています。

 

もちろん、鎧が必要な時もあるとは思います。そうした服をまとうことで、少し背伸びができたり、勇気のいる一歩を踏み出せたりすることがありますよね。でも、ずっと鎧を着続けていると、自分も疲れてしまうし、相手もたぶん疲れてしまうと思うんです。

 

だからこそ、人の目を気にしすぎずに、自分が着たい服を着る。そうしていると、大人になってからでも、共感し合える人や同じ価値観を持つ人が周りに増えていくような気がします。

 

——自分らしい服を選ぶことが、人との出会いや会話にもつながっていくのですね。アナザーアドレスも、本当に着てみたいと思う服との出合いを後押しできる存在でありたいと、改めて感じました。最後に、MIDOTの服をこれから楽しまれる方へ、メッセージをお願いします。

 

北原さん:アナザーアドレスは、普段はなかなかチャレンジできない服にも挑戦しやすいサービスだと思います。普段柄ものを着ない方も、ぜひドットを身につけて、「あれ、今日どうしたの?」と言われるような反応も含めて楽しんでいただきたいです。新しい自分に出会うような感覚で着ていただけたら嬉しいですね。

 

■北原規稚子さん
ライオン、資生堂にてマーケティングキャリアを積む。TSUBAKI、ELIXIR、MAQuillAGE等のブランドマネジメントを経て、マーケティング本部長に就任。2025年に株式会社MICHIを設立して独立し、「DOTをつなぎ未知なる道を創る」というビジョンを掲げ、幅広い分野でブランディングやコンセプト開発、新価値創造の支援を行う。

 

公式サイト:https://midotshop.com/
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