百貨店の価値とリユース事業の融合により、新たな“ときめき”を生み出すことを目指すブランド買取専門店「MEGRÜS(めぐらす)」。買取事業を通じた新たな“体験価値”の創造を目的に、AnotherADdressのギフトカードを導入いただきました。
今回は、AnotherADdressが2025年6月18日(水)から開始した法人向けの新サービス「AnotherADdress.biz」と協業した背景やその狙い、今後の展望について、株式会社JFR&KOMEHYO PARTNERSの下垣徳尊さん、小川翔太郎さんにお話を伺いました。

――まずはじめに、MEGRÜSについて教えてください。
下垣さん:MEGRÜS は、大丸松坂屋百貨店やパルコなどを傘下に持つ J.フロント リテイリングと、ブランドリユース事業を全国展開するコメ兵が設立した合弁会社「株式会社JFR & KOMEHYO PARTNERS」が運営するブランド買取専門店です。
「人とモノの物語をつむぎ、ときめきを持続可能に」というパーパスを掲げ、大丸、松坂屋、パルコの顧客からリユース品(宝石・貴金属、時計、ブランドバッグ、ブランド衣料、絵画・骨董品など)を買い取り、それをコメ兵に売却するビジネスモデルとなっています。百貨店ならではの顧客基盤を活かし、モノを次世代へつなげていく“循環型社会”の基盤を築くこと目指しています。
――そうした事業を進める中で、AnotherADdress.bizを導入されたのはどのような理由からでしょうか?
小川さん:MEGRÜSの事業を進める中で、AnotherADdressの事業責任者である田端さんを、下垣さんからご紹介いただいたことが最初のきっかけでした。AnotherADdressもJ.フロント リテイリング傘下の大丸松坂屋百貨店が展開する事業ということもあり、グループ内のつながりからご縁をいただけた形です。 実際に田端さんとお話しする中で、AnotherADdressの事業内容や目指している方向性を詳しく伺い、循環型のサーキュラービジネスモデルを構築している点に強いシナジーを感じました。

下垣さん:社内で芽生えた新規事業が協業して、一緒に頑張っていくという姿勢をグループ内外に発信していくことが重要だと感じています。ましてや、同じサーキュラーエコノミーのビジネスモデルを展開しているもの同士で、協業しない理由がありません。
この2つの事業が協業することで、社外に対しては、JFRグループが環境問題の解決と持続可能な社会の実現に貢献している企業であることをアピールできると思っていますし、グループ内に対しては「何か面白いことをやっているな」「自分たちにも何かできるかもしれない」などの発明風土を活性化させられるきっかけになると期待しています。
――買取サービスを利用したお客さまには、どのようにギフトカードが提供されるのでしょうか?
小川さん:MEGRÜSでは、ご成約金額が20万円以上のお客さまへの特典として、複数ある体験ギフトの中からお好きなものをお選びいただけるプレゼント企画を予定しています。その中の1つとして、AnotherADdressのギフトカードをご提案する予定です。
――なぜ金券などではなく、ギフトカードにしようと思ったのでしょうか?
下垣さん:MEGRÜSは、“ときめき”を循環させる拠点になりたいという強い思いがあるので、単なる金銭価値ではなく、新たな体験につながるギフトカードという形でお渡しすることにしました。もちろん、買取金額の10%アップサービスや、大丸松坂屋百貨店・パルコで使える商品券などの金券などのほうが喜ばれる方がいるのも事実です。
しかし一方で、お金よりも“新たなときめき”や“新たな体験”を感じてみたいと思っている方もいると考えています。MEGRÜSを利用されたお客さまが、ギフトカードを通じて、知らない体験や実際に利用した事がないサービスに触れていただくことで、それが次の“ときめき”との出会いのきっかけになればと考えています。

小川さん:特典としてお渡しするAnotherADdressのサービスの利用体験を通じて、新しい自分に出会えた!なんて報告を再びMEGRÜSの店頭でお話いただけるなんてことがたくさん生まれてくれたら最高ですね。その“ときめき”の循環が、結果としてMEGRÜSのファンづくりにづながり、さらにAnotherADdressにも興味を持っていただけたらうれしいです。
ご紹介する際は、「AnotherADdressを利用すれば、普段は手に取らないデザインやカラー、試したことのないブランドに挑戦できますよ」といった会話を交えながら、お客さまの興味を引き出せるような提案をイメージしています。また、直近のご予定をお伺いし、それに合わせたワンポイントアイテムのスタイリングをご案内することも可能です。さらに、「アートのある生活を楽しんでみませんか?」といった切り口でも、AnotherADdressの多彩な魅力を幅広く伝えていけると考えています。
――環境や社会貢献に対する取り組みについて、買取事業の側面からはどうお考えですか?
下垣さん:世の中には「環境」にまつわるさまざまな話題がありますが、人々の意識や行動を本質的に変えるまでには至っていないのが現状だと感じています。MEGRÜSが循環させるのは資源ではなく“ときめき”。その“ときめき”に資源を乗せて循環させれば、人々が能動的に循環型社会に関わるきっかけを生み出せると考えています。今回のAnotherADdress事業のご紹介やギフトカードのプレゼントを通じた体験そのものが、自然とサーキュラーエコノミーの環の中に入っている――そんな世界観を提案していると言えるのではないでしょうか。
――その他、今後取り組んでいきたいことはありますか?
小川さん:MEGRÜSの店舗では、ご成約で得られた弊社収益の一部を、環境や社会課題に取り組まれているプロジェクトや事業そのものに対する応援資金として支援していく計画を進めています。MEGRÜSの店舗内には専用什器を設置し、支援対象となる2つのプロジェクトを掲示。買い取りが成立したお客さまには、その中から関心のあるプロジェクトを1つ選んで投票していただく仕組みです。投票数に応じて、1件につき88円を応援資金として支援いたします。
支援プロジェクトは半年を目安に入れ替えていく予定で、初回の支援プロジェクトの1つは、AnotherADdressが取り組まれている衣類循環アップサイクルプロジェクト「roop」に決定しています。こうした取り組みを通じて、少しでも環境や社会課題を考えるきっかけを提供するとともに、お客さま自身の行動がそうした活動の一助になることを感じていただけたらうれしいです。

下垣さん:MEGRÜSは買取を軸とした事業のため、すべてのサーキュラーエコノミーを網羅することはできません。ただ、買取というきっかけを通じて、環境や社会課題への取り組みに楽しみながら関わっていただけたらと考えています。支援プロジェクトの選択をお客さまご自身に委ねることも、その大切な一歩。小川さんがおっしゃるように、「自分も間接的に社会課題の解決に関わっている」という意識を持っていただけることが、何よりも意義のあることだと思っています。
――MEGRÜSをどのように拡大・展開していく予定ですか?
小川さん:2025年8月の松坂屋名古屋店と大丸東京店の出店を皮切りに、今年度中には7~8店舗の展開を予定しています。その後は、お客さまやMEGRÜSの鑑定士の声を反映しながら、来期以降の施策をアップデートしていく方針です。3~4年以内に20店舗を超える出店を目指し、全店舗でのギフトカード導入を図れればと考えています。
――出店が進む中で、店舗運営の面で新たに検討していることはありますか?
下垣さん:MEGRÜSの店舗では、鑑定士として働くスタッフに対し、現在のところ服装に関するルールには幅を持たせています。ただ、今後は百貨店だけでなく、パルコへの出店も予定しており、異なる客層に対応するためには、内装だけでなくスタッフの装いについても一定の指針が必要になると考えています。実際の運営を通じて違和感を覚える場面があれば、そのタイミングで見直しを行い、例えばAnotherADdressの洋服を制服としてレンタルできるプランを導入するのも1つの方法として検討したいです。
■株式会社JFR&KOMEHYO PARTNERS 代表取締役社長 下垣徳尊さん
2007年、株式会社大丸松坂屋百貨店に入社。大丸梅田店で戦略立案、大型リニューアル、フェムテックをテーマとした新規プロジェクト等に従事。その後、J.フロントリテイリング株式会社で経営企画部、事業ポートフォリオ変革推進部を経て、J.フロントリテイリング初のCVCファンド「JFR MIRAI CREATORS Fund」を企画し、立ち上げをリード。長らくJFRグループのオープンイノベーションをけん引。2025年3月より現職。スタートアップとの共創経験を活かし「事業共創による事業成長を目指す」をテーマに、よりおもしろい未来の創造にむけ日々活動中。
■株式会社JFR&KOMEHYO PARTNERS 取締役副社長 兼 営業本部長 小川翔太郎さん
2005年、株式会社コメ兵に入社。名古屋本店、心斎橋店にて営業を担当。その後、営業企画部の創設期メンバーとして、マーケティングや店舗開発を担当し、各種プロジェクトに参画。2017年に開業した梅田店の副店長として立ち上げを経験。その後、梅田店の店長を歴任後、名古屋本店の店長に就任。経営企画部に異動後、ジョイントベンチャーのプロジェクトを担当し、2025年3月より現職。コメ兵での営業経験を活かし、事業の創設期である営業全体を統括する。おもしろいことをカタチにすることに日々奮闘中。
公式サイト:https://jfkp.co.jp/megrus/ ※外部サイトに遷移します