2025年2月15日(土)に最終審査が行われる「roop Award 2024-2025」。2024年8月から推進している衣料循環アップサイクルプロジェクト「roop」の一環として、アナザーアドレスが実施するファッションデザインコンテストです。
ファイナリストに選ばれたのは、「プロ部門」「アマチュア/学生部門」計20名。ですが、最終審査への進出が叶わなかった作品も、デザイナーの方々の思いが詰まった魅力溢れるものばかり。そこで今回は、最終審査に進めなかった作品から、注目の5作品をピックアップしてご紹介します。
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「roop Award」は、ファッションを楽しむことを前提としながら、「洋服の廃棄を減らす・洋服の寿命を伸ばす・洋服の技術・意思を継承する」ことを体現した作品を選ぶファッションデザインコンテスト。アナザーアドレスや百貨店のお客様から託された「着られなくなった、思い入れのある服」や、アナザーアドレスで「レンタルができなくなった服」が、デザイナーの手でアップサイクル品へと生まれ変わりました。
2025年1月には一次WEB投票を実施し、2万票を超える投票の結果、20名のファイナリストが決定いたしました。
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roop Award 2024-2025の集大成として、20名のファイナリストからグランプリを決定するショーコンテストを開催。女優の長谷川京子さん、デザイナー/アーティストの篠原ともえさんもゲスト審査員としてお招きします。
ここからは、最終審査に進むことはできなかったものの、ぜひご注目いただきたい5作品をピックアップしてご紹介します。
日下宗隆
学生時代にファッションデザインや被服構成について学び、在学時から卒業後にかけて複数のファッションコンペティションやアート分野のアワード等に参加。現在は、衣装制作や布地を用いた立体作品等の制作などを行い、作品展示や個展開催などの機会を通して作品発表を続けています。
roop Awardにエントリーいただいた作品は、短冊状に縫製したパーツを用いて、分割された衣服のパーツを結び、繋ぎ合わせているのが特徴。こちらは、その構造が最もわかりやすく表現されたワンピースです。
パーツを繋ぎ合わせる結び目は、リボンのような装飾であると同時に、もとの服を所有していた方や制作者の想い・愛着を、次に衣服を手にする人たちに結び、繋げていきたいという思いが込められています。
実生活で着用するシーンをリアルに想像できる服を目指し、違和感がなく、全体の雰囲気が統一されるよう意識して制作を進めました。一見シンプルながら、細かなディテールや縫製にこだわっているので、少し特別な日やお出かけの際に着用いただけたら嬉しいです。(KUSAKA MUNETAKAデザイナー・日下宗隆)
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sheephilは、ハンドニットを主としてくらしをあたたかくするアイテムをつくるデザインレーベル。国産ウールや、作家物の手紡ぎ糸など各地から集めたとっておきの素材をつかい、日常を彩る1点もののニットウェアから、アーティストのライブ衣装まで幅広く手掛けています。
roop Awardにエントリーいただいた4作品からご紹介するのは、麻素材のサマーニットと、複数種の糸を引き揃えて編まれたビッグシルエットのセーターを解いて制作したサマーニット。以前はアナザーアドレスでレンタルされていた2着のニットが、新たな形に生まれ変わりました。
素材を見させていただいたとき、サマーニットのハンガーに『毛玉限界』と書かれた付箋が貼られていたのが印象に残っています。解いてみると糸は思ったほどダメージを受けておらず、とても綺麗でした。さらっとした美しい糸だったので、かぎ針編みのモチーフ繋ぎの技法で再びサマーニットを編みました。ライトグレーのクロッシェに映える印象的なピンクのリボンは、ビックシルエットのセーターを解いて取り出した糸で編んでいます。
編地の隙間や、背中や袖の大きな開きから下に着たお洋服が透けて見えるのが楽しい1着なので、レースのトップスやプリントTシャツとの重ね着がおすすめです。(sheephilデザイナー・望月ひつじ)
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2024年スタートのマシルカは、丸や四角を用いた洋服がコンセプト。アパレル企画歴10年。自然に優しい服作りを目指して、パターンやリメイク、地球の事を勉強中。
もとになった洋服の素敵なディテールや素材を活かしつつ、丸や四角の形を用いた作品づくりが特徴のマシルカ。今回は、遊び心溢れるフォレストグリーンのスカートをピックアップしてご紹介します。
スカートのもとになったお洋服は、シミになっていた箇所を折り畳んで使用しています。さらに、他の素材からレースやプリントを選んで、着る方がワクワクするような丸いパッチワークのデザインに仕上げました。お母様から譲り受けたという50年もののレースワンピースなど、想いの詰まった素材を用いています。大切にされたお洋服の素材たちの折り重なり。そんなことも感じながら着ていただけたら嬉しいです。(マシルカデザイナー・矢吹舞)
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「終わらせない」をコンセプトにしたアップサイクルブランド、Dot And。服の大量生産・大量破棄が生み出す環境汚染を改善する為に、リメイクに見えないナチュラルな形に服を再構築し、着なくなってしまった服をリスタートさせます。「服で服を作る」が当たり前な、服との共存社会を目指したブランドです。
今回エントリーいただいたのは、ホテルでのランチに着て行きたくなるような、少し背伸びをしたエレガントカジュアルなコレクション。一見リメイクには見えないデザインで、どんな方にも気軽にサステナブルな服を楽しんでいただけます。
伸縮性のある生地の白いスカートと黒のパンツからできた作品です。袖に伸縮生地を使用し、袖口に向かって程よい広がりを作ることで、柔らかく滑らかな動きを叶えました。パンツの2種類のポケットをそのままトップスのポケットとして用いるなど、元のデザインを尊重して制作しています。
インナーにタートルネックや透け感のある素材を仕込んだり、スカーフを首に巻いたり、デニムパンツと合わせてカジュアルにしたりと、さまざまな着こなしを楽しんでいただきたいです。(Dot Andデザイナー・安藤陽和)
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江上千春
文化服装学院、coconogacco卒業し、神戸ファッションコンテスト2018で留学権を得てイタリア・ローマのAccademia Costume e Modaでオートクチュールデザインを学ぶ。2021年に帰国し衣装制作活動を開始。2024年から日常から生まれたユニークなモチーフと装いをコンセプトにプレタポルテのコレクションラインをスタート。
roop Awardにエントリーいただいたのは、「GARDEN」をコンセプトに、オリジナルのフラワーモチーフを施した作品3点。パッチワークだけでなく、モチーフなどのディテールとしての古着活用の可能性を表現しています。
こちらのフラワーミリタリードレスは、内側にビスチェをつけ、昔のオートクチュールを彷彿させるデザインにしました。前から見たときに、身体のラインが細く見えることがこの仕様のポイントです。お花のケミカルレースは、引き取った古着から取ったものではないのですが、ヴィンテージのウエディングドレスで使われていたものを活用し、立体感のあるデザインに仕上げました。(CHIHARUEGAMIデザイナー・江上千春)
いかがでしたか?
作品は、2025年3月以降、順次アナザーアドレスでのレンタルがスタート予定です。どうぞお楽しみに!
アナザーアドレスは、2025年2月15日(土)、16日(日)に、国立代々木 第一体育館にて開催されるクリエイションの祭典「NEW ENERGY TOKYO」にブース出展します。
roop Award 2024-2025最終審査のショーコンテストをはじめ、トークショーや参加型体験ブースなど、コンテンツが盛りだくさん。最終審査進出を逃した作品の一部も期間中に展示される予定なので、気になる作品はぜひ会場でチェックしてみてください。
みなさまお誘い合わせのうえ、ぜひ会場へお越しください!
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