【roop Award 2024-2025】結果発表|学生/アマチュア部門のファイナリスト作品を一挙公開

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2025.02.21
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2024年8月に始動した、衣料品アップサイクルプロジェクト「roop」。その一環としてアナザーアドレスが実施するファッションデザインコンテスト「roop Award 2024-2025」の最終審査が2025年2月15日(土)に行われ、エントリーいただいた110名の中からついにグランプリが決定しました。

 

今回は、未来を担う服飾学生やアマチュアデザイナー60名が参加した「学生/アマチュア部門」のファイナリスト10名の作品を一挙公開。デザイナーの方々の想いと合わせて詳しくご紹介しますので、ぜひ最後までお楽しみください。

学生/アマチュア部門の受賞デザイナー・作品

【部門グランプリ】カズハ(KAZUHA)/宮川一葉

見事部門グランプリに輝いたのは、大阪モード学園の宮川一葉さんが手掛けるKAZUHA。「multifasted(多面)」をコンセプトに掲げ、1着につき3通り以上の着方を提案しているのが特徴。ただ着るのではなく「探して、試して、発見してほしい」というメッセージが込められています。

たとえば、こちらのノースリーブのジャケットは、普通は前にある襟とボタンをサイドに配置し、逆に脇の部分を前にして着る仕様に。3通りの着方があり、シーンや気分に合わせて楽しめるのが魅力です。

 

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■宮沢一葉

私は今回たくさんの大切な服を使って、また新たに服を作る貴重な経験をさせていただきました。服を解体しているとき、作り手の服への熱量が直に感じられ、どう使えばその服の長所が一番活かせるか常に考えて制作しました。服でみなさんの生活を豊かにできれば嬉しいです。

【準グランプリ】タクト(TACKT)/TackT

学生/アマチュア部門の準グランプリに輝いたのは、TackTさんが手掛けるTACKT。東アジア周遊で訪れたカンボジアのアンコール遺跡群にインスパイアされ、大自然と風と日光が遺跡と調和したときの神秘性を表現しています。アジア周遊旅行で訪れた国の生地のみを使用しているのも注目のポイント。

たとえば、こちらはカンボジアで「タ・プロ―ㇺ」という遺跡を訪れたときの感動を表現したワンピース。古びた遺跡とガジュマルの木が複雑に絡み合い、その地形によって白い光が屈折する情景を、ディテールに落とし込んでいます。

 

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■立澤拓都

埼玉県出身。2024年文化服装学院ファッション高度専門士科卒業。現在Sho Konishi Design Labで勉強中。

【特別賞】ユイ ワカバヤシ(yui wakabayashi)/若林唯

学生/アマチュア部門で特別賞に輝いたのは、文化服装学院の若林唯さんが手掛けるyui wakabayashi。愛着のある服が次のカタチでまた愛されることを願ってリメイクした作品の多くは、もとの形やイメージを崩しすぎないよう、前面に装飾を施し、後ろはもとの姿を残す、というアレンジが施されています。

なかでも注目したいのは、かつてはデートやパーティーといった華やかな場面で着用されていたというワンピースを素材として活用した1着。アップルサイクル後も華やかなシーンに溶け込むよう、フリルで装飾を加え、ホワイトのリボンがアクセントになったお出かけ向きのワンピースに仕立てています。

 

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■若林唯

文化服装学院在学中のデザイナー。「日常にときめきを纏う服。」をコンセプトに、デニムを軸としたリメイクブランドを展開している。医師免許を持ち、制作の傍ら、診療にもあたっている。

「学生/アマチュア部門」ファイナリスト作品

ここからは、惜しくも受賞を逃した学生/アマチュア部門の7作品をご紹介。

スペシャルズ(SPECIALZ)/Ayumi Nonomura

普段の制作から“日常に溶け込み楽しめる服”を大切にしているというSPECIALZ。リアルクローズと創造性を両立し、世の中の人に楽しんでもらえるファッションを届けることを目指しています。本アワードでは、「めぐる季節」をコンセプトに、時を経て姿かたちを変え、新しい思い出の一部になる服を作り上げました。

特に目を引いたのが、かつての持ち主の“母親との思い出”が共通のキーワードの2つのジャケットをドッキングしたジャケット。小花柄のスカートを合わせて、遊び心とノスタルジックなムードが漂うスタイルを完成させています。

 

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■SPECIALZ

MADE SPECIAL MADE 特別な服作りを
手に取る人にとって手放したくない、そんな特別なものでありたい。それが服の価値であり、ものづくりの価値であると思う。時代の流れとともに、人々のアイデンティティとものづくりの価値を尊重するクリエイションを日本から世界へ届ける。

ボーイズ ハート(BOYS HEART)/横田 龍侍

服を通じて「想いを継ぐ」ことをテーマに掲げたBOYS HEART。ドッキングデザインや遊び心のある構造を用いて、それぞれの服が持つ歴史や背景を新しい価値として紡ぎました。

その好例となるのが、学生時代の思い出が詰まった制服のセーラーカラーが目を引くこちらのコート。アップサイクルを通じて幅広い世代の方々に親しんでいただけるよう、チェック柄のコートを組み合わせカジュアルな雰囲気に生まれ変わらせています。

 

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■BOYS HEART

「BOYS HEART」では、日本文化を軸に少年の純粋さや遊び心を表現し、伝統と未来を繋ぐスタイルを提案します。独自の視点で新しい価値と物語を届けることを目指しています。

ユウ(YUU)/石孟 融

「美的循環再生」、「形態的無限重塑」をコンセプトに掲げたYUU。特徴的なのは、服を一度解体して布の状態に戻し、それを紐状に再加工して編み込む技法を用いていること。このプロセスによって、素材そのものの価値を最大限に引き出しながら、汚れや傷を巧みに隠し、独特な風合いを作り上げています。

たとえばデニム編みドレスは、スカート部分に編み込み技法を採用。複数のテクスチャーや柄を組み合わせることで、視覚的なインパクトを演出しています。裾にはアシンメトリーなカットを施すことで動きを出し、軽やかさと奥行きを感じさせる特別な1着に仕上げました。

 

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石孟 融

台湾出身、現在は東京モード学園でファッションを学んでいます。デザインを通じて新たな美しさや可能性を追求し、創造力を磨いています。将来は多様性と革新性を重視したデザインで、日本のファッション業界で活躍することを目指しています。

アリサ オナガ(Arisa Onaga)/翁長 ありさ

Arisa Onagaは、生地の質感は活かしつつ、服のシルエットを完全に変え、フェミニンな側面を引き出した服を提案。モノトーンをベースに、フリルをふんだんに施したワンピースなど、女性らしいディテールが印象的な作品を展開しました。

花火からインスピレーションを受けて刺繍を施したこちらのドレスでは、新しい服、特にフォーマルなドレスを着るときの気持ちを表現。動きに合わせて繊細に揺れ動く透け感たっぷりのレースが、フェミニンなムードを加速させています。

 

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■翁長 ありさ

南米ボリビア生まれ育ちの日本人。国籍は日本で、ルーツとアイデンティティはボリビアというハイブリッド人生です。現在、文化ファッション大学院大学の1年生で、自分のアイデンティティを楽しく研究中。今回のコンテストで、少しでもその楽しさを伝えられたらうれしいです!

ハルト ナカジョウ(haruto nakajyo)/haruto nakajyo

「TUNAGU」をコンセプトに掲げたharuto nakajyo。一度は役目を終えた服をランダムにカットし、パッチワークでつなぎ合わせた後に、ステッチで柄を施したオリジナルの生地を制作。愛着を持って長く愛用できるアイテムに再構築しました。

なかでも、ブラックやグレーの生地を組み合わせたパッチワークデザインのショートジャケットは、主役級の存在感を放つ1着。モノトーンでまとめたスタイリングで、パッチワークのぬくもりを洗練されたスタイルに落とし込んでいます。

 

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■haruto nakajyo

2004年生まれ。幼少期から作ることが好きで、空き缶・空き箱などの廃材を使った工作をよく行っていた。現在は、縫製やパターンなど服作りの技術について深く学んでいる。またその傍で、ブランドや飲食店、個人のお客様からのオーダーを受けアイテムを製作する、縫製代行も行なっている。

カンタ(KANTA)/井上 栞太

プッシュパペットからインスピレーションを受けたアイテムを展開するKANTA。関節の部分にリブをつけ、まるで人形のような見た目に変身させました。

たとえば、チェック柄ブラウスは、肩にリブをつけてパペット風のディテールを表現。薄手で繊細な質感のブラウスにあえてリブを掛け合わせるというブランドとしても初の挑戦により、日常に溶け込みつつ、遊び心も感じさせるユニークな一着に仕立てました。

 

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■KANTA

ブランドコンセプトは【真面目に不真面目】。尖る方向が同じでまるで尖れていない人、奇抜な服を着たいけど、あまり勇気が出ない人。KANTAは真面目なようで不真面目な服を提案します。

梛/梛野 結花

「SEEKER(捜索者)」をコンセプトに、植物学者の女性をイメージし、知的で行動力のある女性像を表現した。レースという女性らしい素材と、トレンチコートというクラシックなアイテムを折衷し、女性らしい装いにアクティブさを加えたコレクションを披露しました。

一番上に羽織ったトレンチベストは、トレンチコートとレースの“いいとこ取り”なアイテム。細い紐とレース柄ポケットで構成されたベストは、繊細な表情をプラスするファッション性と、大きなポケットを追加できるという実用性を併せ持った1着に。ショーではカーキで統一されたスタイルで、現状を観察、分析しそこから未来を見据える知的でアクティブな女性を表現しました。

服を"着ている人間と外界が交わる層のようなもの"と捉え、さまざまな観点からファッションとしての表現を行う。体のラインと調和するエモーショナルな表現を特徴とする。現在は衣装クローズをメインに、ストーリー性を大切にしテキスタイル表現にこだわったクリエーションを行っている。

 

 

いかがでしたか?作品は、2025年3月以降順次アナザーアドレスでのレンタルがスタート予定です。どうぞお楽しみに!

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